×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

プロローグ@ある冬の日に


 小雪のちらつく空港に、二人の男が立っていた。
一人は少年、もう一人は20代後半ぐらいに見えた。
「やれやれ、寒いじゃないかこの国も。」
 少年が口を開く。すると、男は笑って、
「お前の生まれた国だぞ。」
 俺が生まれた国でもあるが、とも言った。
「寒さよりも、暑さに注意しろ。それから水道水は不味くて飲めたもんじゃない。
 だから沸かして飲めよ。」
「細かい注意だな。」
 作戦会議じゃこんな事言えなかったからな、と男はまた笑った。
「さて、これからだな。」
 男が表情を引き締める。
「ああ。だが、こんな長期間の作戦……。本当に意味があるのか?」
「それは本部の決める事だ。俺たち現場が口を挟むことじゃない。」
 やるしかないか、と少年は呟いた。

 雪の中、二人は別れた。
 再び会うとき、その時は……。  


プロローグAある春の日に



 桜の舞い散る中、四人の人間が歩いている。
男女二人ずつ。彼らは、丁度高校生くらいに見えた。
「そろそろ連中が、行動を起こす頃だ。」
 男の一人が口を開く。
「俺たちは防がなくてはならない、何としても。」
 同じ人間が続ける。
「何をしても?」
 女の一人が聞いた。
「それはあんたが決めることだ。」
 はじめの男が答える。
「何をするかは、俺たちは選べない。」
 あんたが決めるんだ、と男はまた言った。
「分かってる。」
 他の二人はそのやり取りを黙って聞いていた。

   四人の間に、桜の花びらだけが舞う。
 これは祝福だろうか、はじめの男は考える。
 桜は答えない。答えるはずもない。
 ただ、舞い散るだけだ。


プロローグBある夏の日に




 おれは、告白した。
 人生二度目の告白だ。
 一度目は失敗したけれど、二度目はの今度はうまくいった。
 嬉しい。
 まあ、おれにとっては当たり前の結果なのだが。
 一度目の女は馬鹿すぎたんだ。
 そうだ。今度の女は、おれのミリョクをよく分かっているようだ。
 やっと、見る目のある女が入ってきたのだ……。

 深夜、自宅で浮かれているこの少年を監視するものが一人いた。
(やれやれ………。)
 盗聴器から漏れてくる声と、彼の態度を見て監視者は溜息を吐いた。
(まあ、いいさ……。)
 監視者は思う。
(ああいうナルシストの方が、扱いやすいらしいしな……。
 せいぜい、利用させてもらうぞ………。)
 監視者はニヤリと笑うと、傍らの缶コーヒーを飲んだ。
 ブラックだった。監視者の闇を映したような……。
目次に戻る