小雪のちらつく空港に、二人の男が立っていた。 一人は少年、もう一人は20代後半ぐらいに見えた。 「やれやれ、寒いじゃないかこの国も。」 少年が口を開く。すると、男は笑って、 「お前の生まれた国だぞ。」 俺が生まれた国でもあるが、とも言った。 「寒さよりも、暑さに注意しろ。それから水道水は不味くて飲めたもんじゃない。 だから沸かして飲めよ。」 「細かい注意だな。」 作戦会議じゃこんな事言えなかったからな、と男はまた笑った。 「さて、これからだな。」 男が表情を引き締める。 「ああ。だが、こんな長期間の作戦……。本当に意味があるのか?」 「それは本部の決める事だ。俺たち現場が口を挟むことじゃない。」 やるしかないか、と少年は呟いた。 雪の中、二人は別れた。 再び会うとき、その時は……。 |
桜の舞い散る中、四人の人間が歩いている。 男女二人ずつ。彼らは、丁度高校生くらいに見えた。 「そろそろ連中が、行動を起こす頃だ。」 男の一人が口を開く。 「俺たちは防がなくてはならない、何としても。」 同じ人間が続ける。 「何をしても?」 女の一人が聞いた。 「それはあんたが決めることだ。」 はじめの男が答える。 「何をするかは、俺たちは選べない。」 あんたが決めるんだ、と男はまた言った。 「分かってる。」 他の二人はそのやり取りを黙って聞いていた。 四人の間に、桜の花びらだけが舞う。 これは祝福だろうか、はじめの男は考える。 桜は答えない。答えるはずもない。 ただ、舞い散るだけだ。 |
おれは、告白した。 人生二度目の告白だ。 一度目は失敗したけれど、二度目はの今度はうまくいった。 嬉しい。 まあ、おれにとっては当たり前の結果なのだが。 一度目の女は馬鹿すぎたんだ。 そうだ。今度の女は、おれのミリョクをよく分かっているようだ。 やっと、見る目のある女が入ってきたのだ……。 深夜、自宅で浮かれているこの少年を監視するものが一人いた。 (やれやれ………。) 盗聴器から漏れてくる声と、彼の態度を見て監視者は溜息を吐いた。 (まあ、いいさ……。) 監視者は思う。 (ああいうナルシストの方が、扱いやすいらしいしな……。 せいぜい、利用させてもらうぞ………。) 監視者はニヤリと笑うと、傍らの缶コーヒーを飲んだ。 ブラックだった。監視者の闇を映したような……。 |