「そう言えば智慧ちゃんは?」 「今日は爆破の日だから、会議は欠席だそうだ……。」 メニアニマ壊滅後、彼ら千鶴の面々はさしたる脅威もなく、暇だった。 と言う訳で、毎週の定例会議もやる事がない。だから欠員がいても大して問題ないのだ。 「智慧ちゃん、定期的に爆破してるんだ。」 「ああ、知らなかったのか?今日は日本海の方に行っているらしい。」 「日本海って事は鐘本君と同じとこじゃん!」 ドッパーンと波しぶきが散る、荒れた冬の日本海。 それを見下ろす岩壁に、自分の身長程もある大きな釣竿を持った鐘本が立つ。 『しゃあっ!!!』 鐘本がその釣竿を勢いよく荒れた海に振り降ろす。 暫くしてアタリが来る。強い引きだ。負けずに鐘本も力を込める。 『うりあぁぁぁぁ!!!!!』 ザッパーと姿を現す巨大魚。体長は3メートルを優に越している。 それが引き上げられて宙を舞う。 『はっ!!』 天高く上げられた巨大魚目掛けて鐘本がジャンプ。そしてその腹に一撃―― くわえようとしたその時、突然飛んでくる手榴弾。 『うわっ!?』 鐘本はすんでのところでかわし、代わりにバゴーンと言う音と共に四散する巨大魚。 散らばる肉片を背後に鐘本が岩壁に着地。そこに手榴弾の主と思しき小黒が現れ、一言。 『また、釣れなかったね。』 『誰のせいだよ!?』 「邪魔しちゃダメよ智慧ちゃん!!」 「どんな想像をしたかは知らないが、別の所に行ってると思うぞ。」 だが、次の日に自分の想像の甘さを、深井は思い知らされる事になる。 次の日の朝、いつものように塩見は学校の門をくぐった。 その背後には護衛も兼ねた深井も控えていた。 「ふ、深井……。」 後ろから地の底から響くような声が自分を呼んでいる。振り向くと体中包帯だらけの鐘本が 立っていた。 「どうした鐘本!?」 ただならぬ状況に思わず声が大きくなる。 「お、小黒が……僕の釣りを……。」 その一言を残し、鐘本は意識を失って前のめりに倒れた。 「鐘本ーッ!!!」 深井の絶叫が朝の学園に響き渡った。 |