「深井君、鐘本君は?」 「今日は釣りの日だから、会議は欠席だそうだ。」 メニアニマ壊滅後、彼ら千鶴の面々はさしたる脅威もなく、暇だった。 と言う訳で、毎週の定例会議もやる事がない。だから欠員がいても大して問題ないのだ。 「鐘本君、釣り好きなんだ。」 「ああ、知らなかったのか?今日は日本海の方に行っているらしい。」 「日本海で鐘本君が釣りと言うと……」 ドッパーンと波しぶきが散る、荒れた冬の日本海。 それを見下ろす岩壁に、自分の身長程もある大きな釣竿を持った鐘本が立つ。 『しゃあっ!!!』 鐘本がその釣竿を勢いよく荒れた海に振り降ろす。 暫くしてアタリが来る。強い引きだ。負けずに鐘本も力を込める。 『うりあぁぁぁぁ!!!!!』 ザッパーと姿を現す巨大魚。体長は3メートルを優に越している。 それが引き上げられて宙を舞う。 『はっ!!』 天高く上げられた巨大魚目掛けて鐘本がジャンプ。そしてその腹に一撃―― 『っしゃああああぁぁぁぁ!!!!!』 バゴーンと言う音と共に四散する巨大魚。 散らばる肉片を背後に鐘本が岩壁に着地し、悲しげに一言 『また、釣れなかった……。』 「釣り方が違うわ、鐘本君!!」 いやいやと言うように首を振って叫ぶ塩見に深井は一言、 「どんな想像をしたかは知らないが、普通に釣りしてると思うぞ。」 |